大切な書類、思い出の写真、仕事で使う資料──それらが、ある日突然Macのトラブルで消えてしまったら……。想像するだけでゾッとします。
でも、Macにはそんなリスクから私たちを守ってくれる標準機能があります。それが「Time Machine(タイムマシン)」です。
難しい設定は不要、外付けHDDをつなぐだけで、自動的にすべてのデータを丸ごとバックアップしてくれる安心の仕組み。今回は、初心者でもすぐに使えるTime Machineの魅力と使い方をやさしく解説します。
Time Machineとは?
Time Machineは、macOSに標準搭載されている自動バックアップ機能です。Mac上のすべてのデータ──ファイル、フォルダ、写真、アプリ、システム設定までも──を定期的に保存してくれます。
ポイントは、「過去の状態に戻れる」こと。誤って削除したファイルや、トラブル発生前のシステム状態をピンポイントで復元できます。
必要なのは“外付けストレージ”だけ
Time Machineを使うために必要なのは、USBやThunderbolt接続の外付けHDDまたはSSDのみ。最低でもMacのストレージ容量と同等、もしくは2倍程度の容量があると安心です。
1TB以上のストレージを準備しておけば、長期間にわたって自動バックアップが続けられます。
設定は数分で完了
使い方はとてもシンプル。
- 外付けドライブをMacに接続
- 自動的に「Time Machineに使用しますか?」と表示される
- 「バックアップディスクとして使用」を選択
- 以後、1時間ごとに差分バックアップが自動実行される
設定は「システム設定」→「Time Machine」からいつでも変更可能です。
過去のファイルに“時間旅行”できる
Time Machineの特長は、バックアップの履歴が「時間軸」で保存されていること。Finderでファイルを開いた状態でTime Machineを起動すると、過去の状態が画面奥に“時間旅行”のように表示されます。
- 昨日のバージョンを復元
- 1週間前に削除した書類を取り戻す
- トラブル前の設定にロールバック
というように、特定の日時の状態にピンポイントで戻ることが可能です。
新しいMacへの引っ越しも楽々
Time Machineがあれば、古いMacから新しいMacへのデータ移行も簡単です。初回セットアップ時に「Time Machineから復元」を選ぶだけで、アプリや設定を含めてそっくりそのまま復元できます。
まるで「今まで使っていたMacが、そのまま新しくなった」ような感覚で使い始めることができます。
保存先の工夫で快適運用
バックアップ先のストレージは、以下のような構成も可能です。
- 自宅ではUSB外付けHDD
- オフィスではNAS(ネットワークHDD)
- ポータブルSSDを持ち歩きバックアップ
Wi-Fi経由のTime Capsule(AirMac Time Capsule)はすでに販売終了していますが、SynologyなどのNASを使えば同様の機能を自作できます。
Time Machineの弱点と対策
便利なTime Machineにも、いくつかの注意点があります。
- 外付けHDDが故障したら復元不可 → 定期的にHDDの健康状態をチェック
- 盗難や災害時はHDDも失う可能性 → クラウドバックアップ(iCloud Driveなど)と併用がおすすめ
- 容量がいっぱいになると古いバックアップが削除される → 定期的な見直しを
バックアップは「2系統以上」が基本。Time Machineは“ローカル保存の安心感”を担う役割として最適です。
まとめ:Macにまかせて、“もしも”に備える
Time Machineは、Macユーザーにとってもっとも手軽で確実なバックアップ方法です。毎日バックアップする意識や手間は一切不要。つないでおくだけで、自動的にあなたの大切なデータを守ってくれます。
「バックアップなんて、必要になってからでいい」と思っていませんか? でも、本当に困ったときには“もう遅い”のです。
Time Machineを活用して、当たり前に自動バックアップがある暮らしを始めてみましょう。