iPadは、これまで“タブレット=閲覧と簡易作業”というイメージを持たれがちでした。
しかしAppleはその枠を超え、iPadを“本格的なマルチタスク端末”へと進化させようとしています。
その象徴的な存在が「Stage Manager(ステージマネージャ)」という新しいウィンドウ管理機能です。
この記事では、Stage Managerとは何か、どのようなことができるのか、そしてiPadで仕事や創作をさらに快適にするための活用法を、初心者向けにわかりやすく解説します。
Stage Managerとは?
Stage Managerは、macOS VenturaおよびiPadOS 16以降で導入された、Appleの新しいマルチタスク機能です。
これまでのiPadのマルチタスク(スプリットビューやスライドオーバー)とは異なり、アプリを自由にウィンドウ化し、デスクトップのように複数を同時に表示・切り替えできるのが特徴です。
つまり、iPadが“Macライクな使い方”に一歩近づいたと言えるでしょう。
Stage Managerが使えるiPadモデル
以下のモデルで利用可能です(2024年時点):
- iPad Pro 12.9インチ(第3世代以降)
- iPad Pro 11インチ(すべての世代)
- iPad Air(第5世代以降)
※M1チップ搭載モデル以上でないと一部の機能(外部ディスプレイ対応など)が制限されます。
できること①:複数アプリを“重ねて”使える
これまでのiPadでは、最大2つのアプリを横並びに表示するのが限界でした。
Stage Managerでは…
- 最大4つのアプリを同時に表示
- アプリごとにウィンドウサイズを自由に変更可能
- アプリを重ねて“作業スペース”を構築できる
→ たとえば、Safari+メモ+ファイル+ミュージックを1画面に並べて作業可能です。
できること②:“作業セット”を切り替えられる
複数のアプリをグループ化し、ワンタップで“作業セット”ごとに切り替えることができます。
例:
- 【仕事セット】:Slack+メール+ファイル+カレンダー
- 【執筆セット】:Pages+辞書+Safari
- 【趣味セット】:YouTube+Twitter+メモ
→ これにより、脳内のモード切り替えもスムーズに。
できること③:外部ディスプレイ対応で“デュアル環境”に
M1チップ以降のiPadでは、外部ディスプレイにフル解像度で出力でき、Stage Managerも独立して使えます。
- iPad本体と外部ディスプレイに別々のウィンドウ表示
- まさにMacに近い“デュアルディスプレイ環境”を実現
- ドラッグ&ドロップでファイルや画像をやり取り
→ デスクワークやプレゼンにおいて、iPadの汎用性が大きく広がります。
できること④:ウィンドウを重ねる・整理する
ウィンドウを…
- サイズ変更(トラックパッドや指でドラッグ)
- 移動(自由に配置可能)
- 最前面/背面の切り替え
- 最小化(ウィンドウを左サイドに待機)
→ 自分だけの“作業空間”をレイアウトできるようになります。
初心者におすすめの使い方
■ 文章作成・ライティングに
- Safariで調べもの
- メモやPagesで原稿作成
- ファイルアプリで資料参照
→ これまでよりも“ながら作業”が自然になります。
■ 勉強・学習に
- 動画講義を再生しながらノートアプリでメモ
- 問題PDFを見ながら解答記入
- 辞書アプリで言葉の意味を調べる
→ タブレット学習の効率が飛躍的にアップ。
■ 創作・イラスト作業に
- Procreateでイラスト
- Safariで参考資料表示
- 音楽アプリで集中力をアップ
→ 作業に没頭できる環境が1画面に。
Stage Managerの注意点
- M1以上のチップがないと外部ディスプレイ出力が制限される
- ウィンドウのサイズ変更がマウス/トラックパッドなしではやや不便
- アプリによっては完全対応していない場合あり
とはいえ、Appleは今後も改良を進めているため、利便性はますます高まると予想されます。
まとめ
Stage Managerの登場によって、iPadは“コンテンツ消費端末”から“本格的な作業デバイス”へと進化しました。
複数アプリを自由にレイアウトし、作業の流れに応じて切り替えることができる。
外部ディスプレイにも対応し、クリエイティブな作業やビジネスにも頼れる存在に。
iPadを「見るための端末」から「作るための道具」へ。
Stage Managerは、その大きな一歩を担っています。